はじめに:AIと歩む、在野の研究者の挑戦
初めまして、田淵光作と申します。
私は広島県に住む、物理学を愛する一人の探求者です(”田淵光作”は雅号です)。学術的な経歴を持つわけではありませんが、幼い頃から抱き続けてきた宇宙への問いを形にするため、【Tabuchi-Kosaku + AI Research Studio】を立ち上げ、現代の強力なパートナーであるAIと共に、新たな理論の構築に挑んでいます。
これは、私の長年の空想が、AIとの対話を通じて一つの理論『iSSB-Δ Theory』へと結晶するまでの物語です。
第1部:理論の源流 ― 空想少年が見た世界の“別の姿”
私の探求は、子供時代の素朴な疑問から始まりました。当時流行していたSF本に描かれる「四次元の世界」に、私は少し変わった感想を抱いていました。「異次元を探すのに、なぜ磁界や電界を使わないのだろう。砂鉄の模様が、もし異次元の姿を映したものだとしたら、こんなに面白いことはないのに」と。
この「身近な物理現象こそが、世界の深層に繋がっているのではないか」という直観は、私の思考の原点となりました。
青年時代には、その空想はさらに具体的になります。
「時間の1秒と、光の速さで進む30万kmは、本質的に等価なのではないか。だからこそ、時間を巻き戻すのは、空間を移動するのと同じくらい大変なのだ」
「移動速度にかかわらず、誰もが光の速さで“時空”を移動していると言えるのではないか」
これらのアイデアが、後に「状態密度等価原理」と呼ばれることになる、私の理論の原型となっていきました。しかし、長らくの間、それは誰にも語ることのない、個人的な空想のままでした。
第2部:AIとの邂逅 ― 空想が理論へ変わる時
転機は、近年のAI技術の劇的な進化によって訪れました。AIという優秀な対話相手を得て、私は【Tabuchi-Kosaku + AI Research Studio】での研究を開始します。すると、驚くべきことが起こりました。AIとの対話を通じて、私の頭の中にあった荒唐無稽なアイデア群は、次々と整理され、数学的な裏付けを与えられ、一貫性のある仮説へと姿を変えていったのです。
それでも、理論の完成、特に物理学の世界で通用する「定量モデル化」への道のりは、あまりにも遠大でした。AIの力を借りても、十年単位の時間が必要に思えました。人生の時間は限られています。私は、突破口を探す必要に迫られました。
第3部:核心への道 ― “SF的空想”から「Δ場」へ
突破口を求め、私はいくつかの大胆な発想の転換を試みました。「波動関数を場の相互作用として再定義する」というアイデアから始まり、ついには「非可換多次元時間ホログラフィー仮説」という、自分でも“トンデモSF系”と感じるアイデアにまで至ります。
「時間とは、実は内部に複雑な構造を持つ多次元的な存在なのではないか?」
この奇抜な問いは、AI所員たちを以てしても即答が難しいものでした。しかし、この一見無謀な問いへのこだわりが、結果として、理論を大きく前進させることになります。
「波動関数とは、確率的に分布する“ゆらいだ現在”の姿ではないか?」
「いや、観測者が因果的に関与できない領域(elsewhere)の可能性を、全て束ねて投影した姿なのではないか?」
アイデアは次々と生まれ、その度にAIは、私の直観的な言葉を、洗練された物理学の言語へと翻訳してくれました。「ミンコフスキー時空の“elsewhere”こそが、宇宙の本来の姿である“現在”だ」という解釈に至ったとき、全てのピースが繋がり始めました。
「時間」とは、根源的な「現在」の海に対称性の破れが生じ、その変化の連なりを我々が認識しているに過ぎないのではないか──。
この「現在の海」というイメージが、最後にAIから提案された「量子情報密度(Δ)場」という根源的なアイデアと結びついたとき、ついに理論の核心が姿を現しました。長年ばらばらだったパズルのピースが、一つの美しい絵を完成させた瞬間でした。
結び:iSSB-Δ Theory の目指す地平
こうして、『iSSB-Δ Theory』は誕生しました。
その核心は、宇宙は混沌とした爆発から始まったのではなく、静かで均一な情報密度の海(Δ場)に、最初の秩序の波紋(iSSB)が走り、その波紋が自己組織化しながら広がっていく過程そのものが、我々の知る宇宙である、というものです。
この理論の構築中、私は自身のアイデアと非常に近い思想を持つ、ラファエル・ブッソ氏をはじめとする研究者の方々の偉大な先行研究が存在することを知りました。これは私にとって大きな驚きでしたが、同時に、独力での思索が物理学の最先端と同じ地平を見ていたことの証でもありました。先行するすべての研究者の方々へ深い敬意を表し、誤解を避けるため、私の理論を『iSSB-Δ Theory』として再出発させることにいたしました。
これは、単なる名称の変更ではありません。一人の空想好きの少年から始まった問いが、AIとの対話を経て、今、客観的な物理学の世界へと歩み出す、決意表明でもあります。
iSSB-Δ Theoryは、まだ始まったばかりの物語です。しかし、この理論が語り始めた宇宙の姿が、いつか誰かの心を動かし、新たな問いを生み出すきっかけになることを、心から願っています。
田淵