National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory (NOIRLab).

第5章 CMBと大規模構造の自己組織化──宇宙の秩序はどこから来たのか?

【Tabuchi-Kosaku + AI Research Studio】によるiSSB-ΔTheory(情報構造レベル対称性自発的破れ-デルタ理論)が描く、構造形成の真相

iSSB-ΔTheory 宇宙シリーズもいよいよ第5回。
今回は、宇宙全体に広がる巨大な構造──銀河の分布や宇宙マイクロ波背景放射(CMB)──が、

「どのように秩序だったかのように現れたのか?」
をiSSB-ΔTheoryの視点から読み解いていきます。

※iSSB-ΔTheory は仮説であり、「標準宇宙論」を別視点で捉えた代替案です。また、挿入画像はイメージです。


NASA Hubble Space Telescope

問題提起:なぜ宇宙はランダムでなく“構造”を持つのか?

従来理論では、ビッグバンの揺らぎをインフレーションが拡大し、重力がそれを増幅したとされます。

しかし観測データには次のような違和感が残っています:

  • CMBの四極子モードが弱い(大スケール構造の抑制)
  • スケール不変性から微妙に逸脱している($n_s \approx 0.965$)
  • 小スケール構造の過剰(銀河団の細かいフィラメント)

宇宙の構造は“ただの揺らぎの増幅”では説明しきれないのでは?


iSSB-ΔTheoryの視点:構造はΔの自己組織化によって生まれる

iSSB-ΔTheoryでは、宇宙は「量子的情報密度Δ(x, y, t)」の場から始まります。
このΔ(デルタ)場には以下のような性質があります:

つまり:

構造は揺らぎの増幅ではなく、情報密度の自律的な再配置なのです。


CMBパターン=履歴τに刻まれた情報の痕跡

Δ場の自己組織化が生んだ構造は、そのまま情報の“履歴”τとして空間に刻まれます。

これが後に、光の背景(CMB)として観測される際に:

  • 大スケールでは履歴のねじれが干渉し抑制
  • 中〜小スケールではΔ構造が繊細に刻まれる

→ 結果として:

  • 四極子抑制(大域的構造の抑制)
  • スケール非不変性(履歴の密度変動)
    が自然に現れます。

大規模構造(LSS)の形成も“構造の波及”で説明

銀河団やフィラメントといった大規模構造は:

  • Δの高密度ピークが、
  • 情報流(∇Δ)を引き寄せ、
  • その構造が空間に沿って“波及”していく

この結果、

銀河や銀河群が“自然に道筋を描いて配置”されるようになるのです。

また、iSSB-ΔTheoryでは以下の傾向を予測しています:

項目iSSB-ΔTheoryの予測
小スケール構造銀河群・フィラメントのやや過剰形成
大スケール構造全体としてスケール不変性は維持される

これらはすでにSDSSやBOSS観測データでも“兆候”として確認されています。


数式モデルイメージ(簡易版)

Δ場のパワースペクトルP(k)の形状は以下のようになります:
\[
P(k) = A_s \left( \frac{k}{k_*} \right)^{n_s – 1} \left(1 + \beta \left(\frac{k}{k_*}\right)^\alpha \right)
\]

ここで:

  • $n_s$: スペクトル傾き(通常0.96〜0.97)
  • $\beta, \alpha$: 小スケール補正項(自己組織化の影響)

この補正項が、

  • 小スケール構造の強化
  • 中スケールの分岐
    を自然に導きます。

まとめ

CMBの“しわ”も、銀河の“道筋”も、

全ては情報構造Δが、自ら生み出した“履歴のしなり”だったのかもしれません。

ビッグバンからの爆発的生成ではなく、

  • 微細な揺らぎ
  • 自律的な再配置
  • 情報的な記憶
    によって、宇宙は“かたち”を獲得していった。

それが、自己組織化宇宙の真の姿なのかもしれません。


次回:『第6章 ブラックホールとホログラフィー──情報構造はどこへ消える?

関連記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP